請負契約と準委任(SES)契約について必ず押さえておきたいこと
マネジメント
1. はじめに
開発契約で関係する契約の種類としては、主に、請負契約、準委任(SES)契約があります。 各契約形態の特徴やメリット、デメリットを備忘録として以下にまとめます。(受注側目線で記載しています。) なお、実際に作業を行うのはシステムエンジニアであり、仕事の内容が大きく変わるわけではありません。
2. 概要
A. 請負契約
- システム開発の成果に対して発注側が受注側に報酬を支払う契約。
B. 準委任(SES)契約
- 発注側から受注側へシステム開発作業を委託し、受注側がそれを受諾することによって成立する契約。
- 「委任」と「準委任」の違いは法律行為かどうか。準委任は法律行為を含まない委託を指す。
3. 報酬
A. 請負契約
- 成果物に対して報酬を受け取る。
- (例) プログラムを作成し納品する
- 成果物を納品後、発注側で成果物に問題がないことを確認した後で報酬が支払われることが一般的。
B. 準委任(SES)契約
- 労働時間に対して報酬を受け取る。
- (例) 要件定義書の作成をサポートする
- 報酬は一定期間ごとに支払われるのが一般的。
4. 指揮系統
A. 請負契約
- 受注側にある。
B. 準委任(SES)契約
- 受注側にある。
5. 完成責任
A. 請負契約
- あり。
B. 準委任(SES)契約
- なし。
6. メリット
A. 請負契約
- 低コストで成果物を完成させることができればお得。
- (例) 1000万の仕事を700万の開発費で完成させれば300万の利益となる。
B. 準委任(SES)契約
- 決められた労働時間の中で発注側の期待値以上の成果であれば、信頼度や単価の向上に繋がる。
- システム開発の失敗に対してリスクを負わない。(当たり前だが、準委任とはいえ成果物の期待はされる)
7. デメリット
A. 請負契約
- コスト内でシステムを完成させることができなければ赤字になる可能性がある。
- (例) 1000万の仕事を1300万の開発費で完成させれば300万の損失となる。
- 成果物の結果責任を負うことになるのでリスクが高い。
- (例) 納品後、仮にバグが見つかった場合、対応する義務(瑕疵担保責任)が課される。
B. 準委任(SES)契約
- 決められた労働時間の中で発注側の期待値以下の成果であれば、信頼度や利益の低下に繋がる。
- 責任範囲が狭いため利益が少ない。